水虫・爪水虫

水虫(足白癬)の治療法

水虫(足白癬)の治療法 水虫の治療は、まず顕微鏡で水虫菌があるかどうか調べることから始まります。水虫菌が検出されたら抗真菌剤の外用が中心となります。水虫を放置すると爪に水虫が感染した「爪水虫」を発症することがあります。爪水虫は難治性であり通常外用剤のみではなかなか治らないため、内服治療も行うことになります。また、じくじくした水虫は細菌感染を起こしたり、外用剤でかぶれなどが生じやすいので注意が必要です。

水虫は症状が治まったように見えても実は菌が残っていて再発を繰り返すことがあるため、医師の指示に従い、根気強くしっかり治療を継続することが大切です。


水虫の治療について、以下点について注意しましょう。

・水虫を放置すると家中に水虫菌がばらまかれ、家族内感染を起こしやすくなります。糖尿病や血行障害のある方は足壊疽(えそ)や下肢切断などの原因となったり、その他の部位に感染して陰部白癬や体部白癬、手白癬、難治性の角質肥厚型白癬や爪水虫となることもあります。水虫の症状が疑われる場合は早めに病院を受診するようにしましょう。

・水虫であると診断されたら、スリッパやバスマットの共有を避け、床をこまめに拭き掃除するなどして家族内感染を予防しましょう。

・水虫の治療をする前には必ず顕微検査を行い、水虫菌がいるかどうかを調べます。市販品などの水虫の外用剤を1~2週間塗布し続けると顕微検査で水虫菌の検出がしにくくなってしまいます。来院する2~3週間前に外用剤の使用を中止してから受診するようにしてください。

・診察の参考にするため、受診前に使用していたお薬は問診票に書くかご持参ください。

・水虫の治療は難治性の場合、長期にわたって治療を行う必要があることもあります。水虫の再発や家族内感染を防ぐためにも医師の指示に従い、根気強く治療を継続して完治させましょう。

【お薬の塗り方】

入浴後、肌が清潔で角質層が柔らかくなっている時に使用します。症状がある部分よりも広めに、足の指と指の間や足底、足の側面に塗りましょう。全体にしっとりするくらいに塗り、5分程おいたら馴染ませます。
まれに皮膚の薄い部分はかぶれることがあります。薬を使い始めて2~3日はなるべく薄く塗り、様子を見ます。問題がある場合は使用を中止し、速やかに受診しましょう。足の指と指の間ががジクジクする場合はガーゼを挟んでも良いでしょう。

【治療上の注意】

水虫は通常、治療を始めて1ヶ月程度で皮剥けや水疱が改善します。症状がなかなか改善しない場合は、外用剤の種類を変更したり、カンジタなど他の病気かどうかを見極めることも必要になります。また、白癬菌は皮剥けや水疱などの症状が無くなっても角質内に残っているため、完治するには3~4ヶ月間外用剤の使用を続けることが望ましいとされています。薬の効果を確認し適切な治療を行うため、自己判断せず定期的に通院しましょう。

【日常生活の注意】

・1日に1回は石鹸でやさしく丁寧に洗い、清潔を保ちましょう。

・靴はサイズの合った通気性の良いものを選びましょう。毎日同じ靴を履くのは避け、靴は時々日干しして乾燥させましょう。靴下を履き替えることも効果的です。

・1日6時間以上靴を履き続けたり、ブーツや安全靴などの蒸れやすい靴を履くのは避けましょう。なるべく裸足になり、足を空気にさらす時間を増やましょう。

・公衆浴場やジムに行った際は、足を洗ってしっかり拭き、清潔を保つようにしましょう。

・バスマットやスリッパは家族と別のものを使い、絨毯や床の掃除をこまめに行って家族内感染を防ぎましょう。

【爪水虫の治療】

爪水虫の治療は、まず顕微鏡検査で水虫菌がいるかどうか調べることから始まります。菌が一回で検出されないこともあり、顕微鏡検査を繰り返すために何度か通院していただく場合もありますので、予めご了承下さい。爪水虫の治療は外用剤の治療よりも内服の治療の方が効果的であるとされています。しかし、抗真菌剤の内服は比較的値段が高いことや、爪が全て生え替わるには約1年かかるため治療が長期に渡る傾向があること、肝機能に負担がかかる可能性があるなどのデメリットもあります。メリットとデメリットをお伝えした上で患者さんの希望をお伺いして治療していきます。

【抗真菌剤外用】

爪水虫は、水虫菌が爪の奥深くまで入り込んでしまうため、外用剤による治療よりも内服による治療の方が効果的とされています。確かに爪全体に水虫菌が広がった状態まで悪化すると内服治療しないと治りませんが、侵食が部分的である場合は、外用剤の塗り方を工夫することで充分に効果をあげることができます。液体、クリーム、軟膏など複数の外用剤を組み合わせて使用することや、入浴後すぐに塗ること、1日の塗布回数を増やすことなども効果的です。

◆クレナフィン爪外用液10%

クレナフィンは、エフィナコナゾールを有効成分とし、2014年に発売された日本初の抗真菌外用剤です。それまで、日本国内で承認されている爪白癬治療薬は経口抗真菌薬のみでしたが、肝機能に負担がかかる可能性があり、効果が期待できる新たな外用剤が望まれていました。クレナフィンは外用剤であるため副作用が殆どなく、安全性が高いのが特徴です。また、硬い爪の中にまでしっかりと浸透するので、爪の奥深くに入り込んでいる水虫菌にも有効です。

水虫(足白癬)の治療法

※クレナフィンは、顕微鏡検査や培養検査にて爪水虫であると診断されないと処方されません。
※保険適応の治療薬ですが、1本3.56g入りで1800円(3割負担の場合)と、決して安くはありません。
※衛生面の問題から、開封後4週間で使い切るようにしましょう。
※軽度の爪水虫の場合は、高い改善効果が期待できます。軽度の爪水虫と診断されたら、まず、クレナフィン外用剤による治療を選択することをお勧めします。

《クレナフィンの使用方法》

1日1回、入浴後に、爪全体・爪の両脇・爪の先端に塗ります。皮膚に余分な薬液が付いたら、綿棒やティッシュで必ず拭き取りましょう。内容量があまり多くないので、無理に押し出すとすぐになくなってしまいます。ボトルの先端についたハケから自然に染み出る程度の量を塗りましょう。衛生上、開封後、4週間以内に使い切ることが望ましいとされています。万一、使い始めて数ヶ月経っても症状があまり改善しない場合は、他の内服薬に変えて治療を行います。

【爪水虫内服治療】

内服薬は、外用剤では届きにくい爪の奥深くの水虫菌も殺菌することが期待できます。水虫の内服薬には、ラミシール錠とイトリゾール錠の2種類があります。服用してもなかなか症状が改善されない場合は、違う種類の薬に変更したり、一度内服を中止し再度内服治療を行うこともあります。内服薬は肝機能に負担をかける可能性があるため、定期的に血液検査で肝機能に問題ないかどうかを確認しながら治療を行っています。予めご了承ください。

①ラミシール錠(お薬代;1ヶ月2100円程度⇒半年間で12600円程度)
 水虫菌の増殖を抑えて殺菌します。海外でも広く使われている水虫の治療薬です。1日1回服用し、半年間ほど通院する必要があります。

②イトリゾール錠(お薬代;1週間8500円程度⇒3クールで25000円程度)
 水虫菌の増殖を抑えて殺菌します。ラミシール錠との違いは、パルス療法という方法で内服されること、通院回数が少なくて済むこと、飲み合わせに注意が必要であること、肝機能に負担がかかる可能性があることなどがあります。
パルス療法とは、1週間内服して3週間休止するという形式を3回繰り返すことにより、治療効果を高める治療法です。治療終了後も3~4ヶ月間は有効成分が爪に残留して効果が持続します。通院回数が少なくて済むので、忙しい方には向いている治療薬と言えます。

 爪水虫の内服治療をする際に注意していただきたいことがあります。
・飲み合わせを確認するため、いつも飲んでいる薬の名前を控えて来院してください。
・最近血液検査を行った方はデータのコピーをお持ちください。

体部白癬、股部白癬(いんきんたむし)について

体部白癬(たいぶはくせん)とは、水虫菌が体幹(頭部と四肢を除いた部分)や陰部についたことにより発症する皮膚感染症のひとつです。特に、水虫菌が股部について発症するものは股部白癬(こぶはくせん)と言い、俗名「いんきんたむし」と呼ばれます。丸く発赤して周囲がリング状に盛り上がりますが、中心部はやや赤みが薄くなるのが特徴です。暖かい季節に最も多く発症し、スポーツなどでよく汗をかき、陰部が蒸れやすい男性に多い病気です。

体部白癬、股部白癬(いんきんたむし)について

診察は、まず体部白癬かどうかを検査することから始めます。周囲の皮膚がかさかさした部分を取り、顕微鏡で白癬菌の有無を確認します。基本的に症状が治まるまで抗真菌剤を外用し続けることで治癒します。皮膚の黒ずみが完全に取れるまで治療し続けることが大切です。日常生活においては、1日1回はシャワーで患部を流して肌を清潔に保ち、下着をこまめに変えて高温多湿の環境を改善するなどして症状の悪化や再発を防ぎましょう。

頭部白癬(しらくも)、顔面白癬について

足水虫の原因菌の9割以上は「トリコフィトン・ルブルム」や「トリコフィトン・メンタグロフィテス」という白癬菌であると言われていますが、頭部白癬や顔面白癬では様々な種類の菌が原因となるため、当院では積極的に培養検査を行っています。

頭部白癬や顔面白癬の症状は、初期は紅斑(こうはん)や皮膚のカサカサなどが見られますが、悪化すると毛根部の深くまで白癬菌に侵され、毛が抜けたり、毛穴が化膿したり頭皮がジクジクする「ケルスス禿瘡(とくそう)」という状態になることもあります。

初期の場合、抗真菌剤の外用のみでも完治できることもありますが、症状が進行して毛根部に菌が入り混むと外用剤のみでは治りにくくなるため、内服治療が必要となります。頭部白癬は子供にできることが多く、イトリゾールという内服薬を処方されるのが一般的です。爪水虫の治療と同じように、薬の副作用で肝機能に影響を与える可能性があるため、月に1回は通院していただき血液検査をして問題がないかどうか確認する必要があります。内服薬は夕食直後1日1回服用します。きちんと完治させるためには、医師の指示に従って症状がなくなるまで治療を継続することが大切です。

皮膚カンジダ症、カンジダ性爪周囲炎、爪カンジダ症について

カンジタとは皮膚や性器などの粘膜の周辺、消化管などに常在する菌です。健康な人でも持っている菌で、普段は悪影響を与えませんが、体調不良やストレスなどによって免疫力が下がってきた時に異常に増殖して悪さをします。皮膚カンジタはモヤモヤとした発疹が特徴で、高齢者の股部や赤ちゃんの首回りやオムツ周りで発症が見られることが多く、ステロイド剤が効きません。最近では節電の影響で、夏場に男性の股部に発症するケースも増えています。

皮膚カンジダ症、カンジダ性爪周囲炎、爪カンジダ症について

 冬場や水仕事の多い方は指先の爪の周りが乾燥して荒れがちです。肌荒れするとそこから細菌感染を起こし、細菌性爪周囲炎を起こす場合があります。また、湿疹や炎症でジクジクした状態が続くとカンジダ性爪周囲炎に移行したり、カンジダ性爪周囲炎を放置した結果、爪の形の変形を伴う爪カンジダ症となることもあります。長期に渡る爪の変形や、水虫でないのに足の指の爪肥厚が見られる場合は、カンジダが原因かもしれません。

カンジダに感染しているかどうかを調べるには、皮膚や角質の一部を採取し、顕微鏡検査を行います。菌がはっきりと見えず断定できない場合は真菌培養を行い、菌を確認したら治療に入ります。基本的にカンジダの治療は抗真菌剤の外用が中心です。患部にびらんを伴う場合は、亜鉛華軟膏などで皮膚を乾燥させてから治療を開始したり、亜鉛華軟膏を塗ってから抗真菌剤を塗って治療をします。

日常生活において注意したいのは、清潔を保つことと蒸れないようにすることです。患部はシャワーでやさしく洗い、蒸れが気になる場合はガーゼを挟んで皮膚を乾燥させると良いでしょう。尚、爪カンジダでは外用剤では充分な効果がない場合が多いため、抗真菌剤の内服による治療が中心となります。